初の海外での仕事探し
短期語学留学後、結婚をしてやや落ち着いてきた頃に直面したのが「職探し」でした。
留学期間も含めて約1年半が経過していました。
当時36歳。
こちらでは、35歳以上であっても年齢はほぼリスクになりません。むしろ経験をいかに積んでいるかがポイントになります。
私の経験。。。
日本では約10年務めた会社でのキャリアがあっても、こっちではゼロ。
その頃の私の英語のレベルは、かなり度胸もついていて日常生活に必要な会話や、旦那の友人関係との会話も大分理解できていました。
とは言え、全くのローカル企業に英語だけで勝負するキャリアも自信もなし。
そこで、自分の英語力に磨きをかけて更に今までの仕事の経験も活かす事が出来る‘日本企業系列のお仕事’を探す事へ。
これは意外なほどスムーズに事が運びました。
そもそも、日本人に人気のある観光地だったので
「ツアー会社」「日本食レストラン」「お土産屋」「免税店」
など、日本人求人広告が多数あったのです。
私がチャレンジしたのは、「現地オプショナルツアーガイド」でした。
理由は、
☆夫が昔現地ガイドをしていて「ツアー会社」に知り合いがたくさんいた。
☆その中には、私のような“日本人妻”がたくさんいて楽しそうだった。
☆まだ来て数か月しか経っていない“ワーホリでガイド業に就いている子”がたくさんいた。
などから、
“日本人であることを活かせる”
“私より海外生活が浅い子でも出来てる”
↓
「私にも出来そうだ!」「年齢も関係なさそうだ」
と単純にチャレンジ精神が沸いてきたのでした。
そこで、ある程度土地勘のあった場所の“オプショナルツアー日本人ガイド募集”をしていた会社に連絡をして無事‘海外での初就職へ’。
約4年、お世話になりましたが‘ガイド’を経験して悟った事を書き留めます。
良かった事
日本でのしんどい社会人経験は決して無駄にはならない
文化や習慣の違う海外に身を置いても、接する相手が日本人であれば‘日本人としてのマナー’が必要です。
特に‘働く’となると、社会人時代に鍛えられた経験が多いほど有利になります。
理由は、
✅会社のボスや先輩が日本人ならば、最低限の社会人マナーを要求されるのは当たり前。
✅例え海外でもお客様は日本人。当然のごとく‘日本の常識マナー、サーヴィス’を求めてくる。
✅仕事内容が、「ツアーの事前準備」「ツアー中の時間配分」「年齢を意識した分かりやすいツアーガイド力」「決して押し売りしない土産販売」「会社の為にその他のツアー販売」「オフィスや関係先とのコミュニケーション」など、突き詰めると何とも奥が深い。
これらは、日本で‘営業’であれ‘内勤’の仕事であれ会社勤めの経験をしていれば多少の困難は乗り越えられます。むしろ、その経験を活かして大活躍できるのです。
てっとり早くローカルに溶け込め、英語を活かすチャンス。
ガイド業は、現地の観光地案内なので必ずそこにはローカルで働く人たちと接触します。
バスのドライバーを始め、関係先で働く人たちは皆ローカル。彼らは日本人慣れしていてとても親切なので、比較的早く簡単に打ち解けられます。生の英語に接する絶好の機会。
お客様との信頼関係が人としてより成長出来る。
初めての海外旅行者、幸せ絶頂期の新婚旅行者、楽しい家族旅行者、気の合う友人同士、一人旅などお客様のバックグラウンドはさまざまです。
中には、‘リストラにあって自分を見つめなおす機会に来られた方’や、‘多分これが最後の海外旅行になるだろう’と祖父母を同行されて来られた家族もいて、旅行の目的やその想いは計り知れないものがありました。
いろいろなバックグラウンドのお客様と日々接する中でも、変わらない達成目標は
‘心に残る思い出作りのお手伝い’
「あなたの笑顔とエネルギーが癒してくれました。」
こうしたお礼の手紙を受け取ると、‘ちっぽけな自分でも誰かの役に立つことが出来る’と逆に勇気を与えられ、教えられる事が多々ありました。
会社の仲間以外にも仕事を通して知り合いになれる。
ガイド同士、違う会社でも仲良くなれます。お互い情報交換したり、助け合ううちに公私にわたって長いお付き合いをする事が出来ます。
同じ海外生活をする者同士、新たな交流を広げるチャンスですね。
覚悟する必要がある事とその対応法
日本で居た時より狭い世界が存在する!
海外だからこそ日本人社会がもっと狭い空間で、更には集中型で形成されている場合があります。
そこに係わる人たちの典型的な例をあげます。更に「彼らがもしローカル企業で働いていたら?」と置き換えてみました。
タイプ1:在住歴・職歴が長く日本以上に‘お局’存在に磨きをかけた女性がいる。
↓
そのお局がローカル企業でたった一人の日本人女性として働いていたら。。。オージー女性はとにかくタフ。日本のお局は鼻を軽くへし折られます。
タイプ2:俺(私)って在住何年。と言いたがり、態度がやたら海外かぶれまくっている人がいる。
↓
その海外かぶれ人がローカル企業で唯一の日本人スタッフだったら。。。どんなに海外人ぶっても所詮日本人である事に変わりない。
タイプ3:「あなたワーホリでしょ?」とビザでランク付けしてしまう人がいる。
↓
待て待て。だから何なんだ?ローカル企業で働いていれば誰も言ってこない台詞。ビザの種類が関係を及ぼすのは給料を払う雇用主だけ。ビザの種類じゃなくて‘実力勝負’の世界が先なのだ。
では、こうした日本以上に厄介な人種と共に仕事をする場合の気持ちの切り替え方は?
対応法
- 「お局」対応
お局様は偉そうだけど実は劣等感を持っています。共に働く人たちも、あなたと同じ思いを抱きつつどうに上手くかわしているなら、あなたも気にしないで仕事に集中。
もし、あまりにひどい‘個人攻撃型’なら記録をとって「パワーハラスメント」で上司に訴える。
- 「海外かぶれ組」「ワーホリちゃん」呼ばわり対応
こうした’なんちゃって海外在住者’たちには、にっこり笑って‘若さ’‘謙虚さ’をアピール。
自分はなりたくない反面教師になってもらおう。
日本人客の微妙な心理を理解する事。
日本人が多いのを嫌う。
今や日本人に遭遇しないメジャーな観光地はないですよね。
「日本を飛び出して解放されたい!海外の文化や習慣を生で味わいたい!」
↓
だけど英語がネック。。。安心できる日本人ガイドがいる場所でツアーに参加しよう。
↓
おのずと、日本人観光客がいっぱい。
二つに分かれるタイプとは?
‘出会い編’
タイプ1:自己紹介しあって’新たな出会い’を満喫される。
タイプ2:日本語ガイドのツアーに参加しているのに、‘日本人ばかりで嫌になる’と文句を言う。
’レストラン・食事編’
タイプ1:現地の雰囲気を楽しんで味わう。ツアーに参加した者同士、交流を図る。
タイプ2:‘日本人の行かないローカルのレストランが良かった’と言いつつ‘味が日本人にあわない’と文句を言う。
たくさんの方と接するガイド業。中にはタイプ2型とも同行します。
そこで‘タイプ2型の心理’を理解して‘楽しんでもらうコツ’を先に提案しときましょう!
タイプ2型への対応
‘日本人ばかり’と積もる敵対心の解放トークをする。
まず全員揃った後の最初の挨拶の時に、
「広い世界の中で、今日ここで同じ日本人として出会えたのもご縁です。皆さまもお互い自己紹介なさって輪を広げて下さいね!」
と敵対心を解放してあげましょう。自分が輪の中に入ってちょっとした紹介のお手伝いをしてあげるとツアーの一体感もぐーんとアップ。
孤独を好むタイプは、無理強いせずに個人的に会話の機会を設けるなど臨機応変に。
「そういうあなただって日本人でしょ。」と心の中で思っても決して口に出すべからず。
日本の常識を必要以上に要求する。
海外旅行に来れば、そこの文化や習慣をはじめその国民性も日本とは違います。
’それを味わうのが海外旅行の醍醐味’とは分かっていても、サーヴィスが素晴らしく行き届いた日本で生活しているとあまりの違いに戸惑う事は多々あります。
代表的なのが、’食事内容と接待マナー’ や ’待ち時間’ に対してはかなり差があるものです。
「食事が日本人にあわない。」
「量が多すぎる。」
「食事がなかなか出てこない。」
「水のお替りに来ない。」
「予定時間なのにこんなに待たされる。」
これって、日本のサーヴィスそのものですよね。味が合わないとお客様が来てくれないし、量を知ってもらうために写真付きのメニューがあるし、食事がすぐ運べるようにキッチン体制もしっかりしてるし、水やコーヒーのお替りも頻繁に来てくれるし、乗り物等で待ち時間を要する場合は「〇○時間待ちです」って案内もされます。
考えてみたら至れり尽くせりです。
それじゃ、オージーはどうなんだ?と振り返ってみたら、
「食事が合わないほど凝った料理がない。」
「量が多すぎて文句を言うことはまずない。少なかったら更に追加注文する。」
「食事がなかなか出てこない場合は飲んで楽しむ。そもそも時間がない時はファーストフードへ行く。」
「水のお替りに来ない店は自分でもらいに行くのが当たり前。」
「待たされる事に支障が生ずる場合のみ、待ち時間を聞く。」
そうなんです。自分で行動する主義なんです。
これをいきなり経験するのはカルチャーショックそのものです。
対応法
文句の矛先は同じ日本人のガイドに向けられますから、お互い嫌な思いを回避する為にもツアー開始前に海外モードになってもらいましょう。
「ここは日本ではなくオーストラリアです。皆何とものーんびり、大らか。ちょっとやそっとの細かな事は全然気にしません。皆さんも少しのんびり大目に見てくつろいで楽しんで下さいね。」
或いはその都度’考えられる文句’の前に、こちらでの習慣や方法を案内しておきましょう。
いずれにせよ、ガイド業は見知らぬ土地を訪れる方の「ワクワク心」「不安」の両面を理解していい思い出作りをするお手伝いです。
自身が初めて経験した時と同じ思いのはず。この初心を忘れなければ楽しい職業になりますね。