今回は、単語「mistake」の持つ意味の意外な”落とし穴”を取り上げます。
まず”mistake”を使った単語の昔の私の思考回路です。
英語で「私、間違えちゃった!」って言いたい!
「間違える」→ 動詞「mistake」→その過去形だから、、、
I mistook.
と何も疑う事なく平気で言ってました。夫に指摘されるまで、、、
そして学んだこと!
⭐️名詞「間違い」
→見当違い、または間違った行為や判断によるもの。
⭐️動詞 「(場所や日時、意味など)を間違える、勘違いをする」
→区別の失敗。ある物や事柄、人などを勘違い、誤解してしまう。
⭐️形容詞 mistaken「誤った、誤解した」
→物事を正確に理解できない状態や、誤解している状況を指す。
上記の中でも落とし穴として代表的なのは『名詞』と『動詞』で文脈が変わることです。
更に加えて、一見「これ”be mistaken”だから受動態だよね。。。?」と「動詞」扱いしてしまい、ところがどっこい、実は『形容詞』だった!と言う、mistakenも堂々と存在します。
ここでは、それぞれ実例を挙げて”ネィティヴ”が比較的よく使う表現と、その場面を取り上げて説明します。
名詞のmistake
まずは、名詞のmistake、果たして辞書ではどのように定義しているのでしょうか?
: something that is not correct: a wrong action, statement, or judgment
(訳)正しくないこと :間違った行動、発言、判断
辞書にも説明されているように、行動、発言、判断に対する「間違い」の意味を持ちます。
そして、「間違える」の表現は、動詞のmistakeではなく,名詞を使った熟語、
『make a mistake』が使われます。
では、ネィティヴは具体的に”どんな状況”で、”どのように表現”しているのでしょうか?
私が聞いた実例を挙げます。
名詞mistake:ネィティブが使う場面と表現法
「間違いをする」の自動詞表現になる熟語 “make a mistake” や、
「間違って〜」の熟語“by mistake”がよく使われます。
偶発的、または不注意からくる間違いの実例
⭐️息子から、”学校のスペリングテストで惜しくも一つだけ間違った”と聞いた時の彼のセリフ。
Hey, Mum…Unfortunately, I missed out on a perfect score.
I made one mistake on the spelling test today.
(お母さん、惜しくも満点逃しちゃったんだ。今日のスペリングテストで1つだけ間違っちゃったよ。)
⭐️携帯電話に間違い電話がかかってきた時の夫のセリフ。
Oh, he hung up.
He called the wrong number by mistake.
(あれっ、電話切ったぞ。間違って違う番号にかけたんだな。)
判断による間違いや誤解の実例
⭐️夫の仕事場で、新しく働き始めた人が自分には合わないらしく、そこでつぶやいたらしいセリフ。
Coming here was a mistake.
(ここに来たのは間違いだったよ。)
⭐️映画、Legally Bronde(日本版タイトルはキューティーブロンド)でのシーン
ヴィヴィアンが主人公エルと教授のあるシーンを見て腹が立ち、その後エレベーターに乗り込んだエルを追いかけて彼女に酷い言葉を浴びせてしまい、それが後にヴィヴィアンの誤解だったことを知ったシーンで放ったセリフにも登場します。
I feel terrible. I made a huge mistake.
動詞mistake
次は動詞の定義です。
: to understand (something or someone) incorrectly
(訳)(何か、或いは誰か)を誤って理解すること:to make a wrong judgment about (something)
(訳)(何か)について間違った判断をすること: to identify (someone or something) incorrectly — usually + for
(訳)(誰か、何かを)誤って識別すること ー 通常 +for
名詞の「間違い」と違って、動詞は「〜を誤解する」と言う意味になります。
そしてポイントは、『他動詞』であること。
だから「何を」「誰を」の目的語が必要。つまり私が昔、恥ずかしくも堂々と言ってのけた
”I mistook.”
は、「間違った」と言う意味どころか、ネィティヴからすると「何を誤解したって?」って目的語も無視した不思議な英語になってしまったのです。たったの2語なのに、、、恐るべしイングリッシュ。。。でもこうして一つずつ、失敗を重ねて学ぶことで忘れずに身についていくもんなんですよね。
それでは、動詞の意味「〜を誤解する」をネィティヴはどう表現して使っているのか、場面を追いながら紹介します。
動詞mistake:ネィティヴが使う場面と表現法
「mistake A for B」→AをBと間違える・勘違いする
具体的に何を何と間違えたのか、勘違いしたのかを伝えたい時に使われています。
では、実例をあげます。
⭐️息子が声変わりをする前の頃、義母に電話をするとよく私と間違えていました。そこでの彼女のセリフ。
Oh, it’s Donny!
I thought it was Tomoko’s voice.
I often mistake you for your mum on the phone.
(あらっ、ドニーじゃない。私ったら智子の声だと思ったわ。よく電話であなたの声をママを間違っちゃうわ。)
⭐️息子の学校の帽子を友人が間違えて持っていってしまった時のセリフ。
Koby mistook my hat for his.
So, he took mine by mistake.
Don’t worry, Mum.
(コビーが僕の帽子を自分のと勘違いしたんだ。だから
間違って僕のを持ってっちゃったんだ。心配いらないよ。)
⭐️オーケストラで使うリハーサル会場が移転。そこにはジュニアキャンパスとシニアキャンパスの建物が2件あるから間違えないように連絡を受けた時のセリフ。
I just let you know,
Don’t mistake the two buildings the junior campus and the senior campus.
We use the senior campus.
↑こう言う使い方も聞きました。似ていたり、区別しづらい状況で「2つを間違えないでね」って時に使えますね。
さて、動詞で使われるのは、ほぼこの表現くらいです。
ここからは会話ではあまり聞かないけど、例文としてあげておきます。
(誰か・何か)を誤って理解する
*She mistook my meaning.
(彼女は私の意味を誤解した。)
☞でも通常の会話では、聞いた情報を誤解した時に使われる“misunderstand”の方が多いです。
↓
She misunderstood what I said.
では、最後に形容詞のmistakenです。
形容詞:mistaken
「形容詞」として使われる『mistaken』の辞書に載っている定義です。
1.[not before noun] 〜(about somebody/something) wrong in your opinion or judgment
(訳)[名詞の前ではなく] (誰か/何かについて)意見や判断を誤った、誤解した
2.based on a wrong opinion or bad judgement
(訳)間違った意見や判断に基づいて
一般的に使われるのは「(人)が誤解する・間違える」の表現で、
” be mistaken.”
私は、送られてきたメールで「動詞の過去分詞”mistaken”」だと思い込み、受動態で「〜と間違えられる、誤解される」と訳して何ともおかしな内容になってしまったのがきっかけで「形容詞」の存在を知りました。
なので、まず「受動態」と「形容詞」かどうかの違いから見ていきます。
まず、受動態の「〜と間違えられる」の例文を挙げます。
<受動態 be mistaken>
*My name is often mistaken for Tomiko by foreigners.
(私の名前は、よく外国人からトミ子と間違えられるんです。)
これは能動態にすると ↓
*Foreigners often mistake my name for Tomiko.
(外国人はよく私の名前をトミ子と間違える。)
このように、「make A for B」の受動態として問題なく訳せますね。
では、私が見たこのメールはどうでしょうか?
大まかな内容は、当初話していた見積もりよりも高くなったと言うメールでした。
Unfortunately, I was mistaken about how much it would cost.
この頃、私は一応、英語を英語で解釈し、英文を文頭からかたまり(フレーズ)で捉えるようになっていました。そうじゃないと英語で会話についていけませんからね。
でも「形容詞」のmistakenの存在を知らなかった為に、思考回路は↓
おっ、過去分詞だ。
Unfortunately,/ I was mistaken/about how much it would cost.
残念ながら/私は誤解される/幾らかかるかについて。
「私はそれが幾らかかるかについて間違われる・誤解される?」
何かおかしいな、、、
そうなんです。「何か」と「何か」のコストを勘違いしたって言うなら、動詞のmistakeだけど、これは区別対象がないし、「それが幾ら位かかるか、勘違いした」って言いたいような、、、
夫に聞くと
If you use other words,
“I was wrong” or
“I misunderstood“.
(もし他の言葉を使うとしたら、間違っていたとか誤解してた)
つまり、mistakenを使って「間違う・誤解する」って表現なんだと知る私。
そして、辞書で調べるとわざわざmisutakeの下の段に『形容詞』”mistaken”があるではないか!
「形容詞」だとその存在を知った時には、もう目が鱗。
更に、「〜を誤解する、勘違いする」と目的語をつける場合の代表的な前置詞に”about”が使われている!
そっか!
be mistaken aboutで『〜を勘違いする・間違う』ってなるのか!
でもこの表現は、ネィティヴによると『会話上』と言うより、文書(メール)で登場する方が多いらしいです。
言われてみたら、会話なら、先に起こった事を述べた後で「でも私/僕が間違ってたよ」と言うことが多いですよね。
私が見たメール、
“I was mistaken about how much it would cost.”
(私はそれが幾ら位かかるか、勘違いしていました。)
も通常の会話なら、
I thought the cost would be cheaper.
(私、その費用はもう少し安くなると思ってました。)
But I was mistaken.
(でも間違ってました・勘違いしてました。)
なので” be mistaken about”は、主に文書上で報告する感じで使い、会話で登場するなら
「でも、私は間違えてた・勘違いしてた」と完結型で”I was mistaken.”という方が多いです。
では、実際にネィティヴがどの場面で、どのように表現しているか、実例を挙げます。
形容詞:mistakenの表現法と例文
意見や判断を間違う
⭐️夫がチーズケーキ店の看板を見たと言うので、ドライブついでに通ってみたらなかった時のセリフ。
I saw the sign around here,
but I must have been mistaken.
(この辺りで看板見たんだけど、どうやら勘違いだったようだね。)
⭐️息子が友達のママを紹介してくれた時に、彼女から聞いたセリフ。
I may be mistaken, but I think we’ve met before.
(間違ってるかもしれないけど、前にもあった気がするわ。)
⭐️映画スターウォーズⅥ ”Return of the Judi” にもセリフが登場します。
皇帝が「ルーク」を彼の「父ダースベイダー」と同じようにダークサイドに引きづり込もうとする会話の場面です。
Luke : You’re gravely mistaken. You won’t convert me as you did my father.
(あなたは重大な間違いをしています。 あなたは私の父のように私を改心させることはない。)
The Emperor : Oh no, my young Jedi. You will find that it is you who are mistaken, about a great many things.
(いや、若きジェダイよ。 非常に多くのことについて、間違っているのは自分自身であることがわかるでしょう。)
このシーンを通してご覧になりたい場合はこちらをどうぞ。
⭐️私が学校に送信したメールです。息子のキャンプ用の予約金$150の支払い方法を勘違いしてインターネットバンキングでしてしまった時の内容(一部抜粋)です。
—————
———————–
I was mistaken about this payment.
I paid $150 deposit in a bank transfer, not through Parent Lounge.
—————————-
—————————-
(私はこの支払い方法を間違えてしまいました。
$150の預金をペアレンツラウンジ経由でなく、銀行振り込みで支払いました。
まとめ
1.mistakeは「品詞」で文脈の意味が変わる。
*名詞「間違い」
→見当違い、または間違った行為や判断によるもの。
*動詞 「(場所や日時、意味など)を間違える、勘違いをする」
→区別の失敗。ある物や事柄、人などを勘違い、誤解してしまう。
*形容詞 mistaken「誤った、誤解した」
→物事を正確に理解できない状態や、誤解している状況を指す。
2.「間違える」の表現は、名詞を使った熟語の「make a mistake」や、「間違えて〜」の熟語「by mistake」が使われる。
3.「間違えている・誤解している状態」を表現する「形容詞」の mistaken も存在する。
→会話では、主に起こった事を述べた後に「 I was mistaken. 」、文書上では連絡、報告の意向で「I was mistaken about 〜」の表現が使われる事が多い。
⭐️最後になりますが、「間違い(う)」とか「勘違い(する)」の意味を持つ単語は,wrong やmisunderstandなど他にもたくさんあります。
実際には、「勘違い」を他の表現に変えて「うっかり〜だと思った」に言い換えた“I accidentally thought 〜”の方が会話では頻繁に登場します。
「ネィティヴがよく使う英単語」を使って、日本語訳発想ではなく「英語発想」にしてくれるお勧めの本を紹介します。
これを読めば、「あー、ネィティヴはこう表現するんだ」と英語感覚がついてきます。
実際に私が生活で培ってきた表現が載っています。この「英語発想」は、ネィティヴが実際に使う表現を真似るしかないので、この本に載っている表現法をマスターすれば、「ネィティヴらしい表現」にぐーんと近づくことが出来ます。日本でも出来る勉強法ですね!