聖書のアブラハムの旅【Abraham of Journey】

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アブラハムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の始祖であり、これらの宗教を理解する上で欠かせない重要人物です。

西洋絵画にもしばしば登場。


天使たちを迎えるアブラハム:Abraham Receiving Angels/ジョヴァンニ・ムッツィオーリ(Giovanni Muzzioli)/

聖書を通した芸術は、西洋絵画だけでなく映画、音楽などの理解にも繋がるので、ぜひ教養として取り入れると世界がパーっと広がりますよね。

ここでは、その教養として知っておきたい、聖書の創世記の中でもよく知られる、英語でAbraham of Journey(アブラハムの旅)と呼ばれている内容をイラスト付きで紹介します。

ただ英語学習者の方はしばしば経験されると思いますが、固有名詞を含めて、かなり「日本語読み」と「英語読み」では違いがありますよね。

聖書の代表的な登場人物、「イエス」も英語ではJesus(ɗʒɪ́ːzəs)、男の子の名前に人気の「ダビデ王」から来る「ダビデ」David(déivid)、他にも「ヤコブ」Jacob(ɗʒéɪkəb)です。

ここでの主役、アブラハムはAbraham(éɪbrəhæ̀m)と発音します。

内容を知っていても、いざ英語で聞くと?状態になってしまう(私でした)ので是非、英語での聖書読みもお薦めします。

ここでは引用する聖書を日英対訳で紹介しますので、ぜひ英語表現も目を通してくださいね。

では、まず最初「アブラハムの家族」から見ていきます。

アブラハムの家族-Abraham’s family

アブラハムの系図は、旧約聖書、創世記11章27―30(Old Testament, Genesis11:27-30)に説明されています。

父の名を”テラ(Terah)“と言います。

系図を見てみると、
「アダム」から10代目が”ノアの箱舟”で有名な、大洪水後の新しい時代を担った「ノア」。

その「ノア」から数えて9代目に「アブラハムの父」である「テラ」が登場します。

 

では、ここからテラから先の系図を見ていきます。

以下、文頭にある数字は「聖書、創世記11章の節」です。

27 テラの系図は次のとおりである。テラアブラムナホルおよびハランを生み、ハランロトを生んだ。

27. This is the account of Terah’s family line.Terah became the father of Abram, Nahor and Haran. And Haran became the father of Lot.

*アブラハムは最初、「アブラム(Abram)」と呼ばれていました。後に神から改名され「アブラハム(Abraham)」と名のります。

聖書の続きです。

28. ハランは父テラにさきだって、その生れた地、カルデヤウルで死んだ。
28. While his father Terah was still alive, Haran died in Ur of the Chaldeans, in the land of his birth.

29. アブラムナホルは妻をめとった。アブラムの妻の名はサライといい、ナホルの妻の名はミルカといってハランの娘である。ハランはミルカの父、またイスカの父である。
29. Abram and Nahor both married. The name of Abram’s wife was Sarai, and the name of Nahor’s wife was Milkah; she was the daughter of Haran, the father of both Milkah and Iskah.

30. サライはうまずめで、子がなかった。
30. Now Sarai was childless because she was not able to conceive.

*サラも最初「サライ(Sarai)」と言う名前でした。後に神より「サラ(Sarah)」と改名されます。サラとアブラハムの間になかなか子供が出来なかった事が、後々大きな展開へ。。。

ここからアブラハムの旅が始まります。

アブラハムの旅: Abraham of Journey

31 テラはその子アブラムと、ハランの子である孫ロトと、子アブラムの妻である嫁サライとを連れて、カナンの地へ行こうとカルデヤのウルを出たが、ハランに着いてそこに住んだ。

31 Terah took his son Abram, his grandson Lot son of Haran, and his daughter-in-law Sarai, the wife of his son Abram, and together they set out from Ur of the Chaldeans to go to Canaan. But when they came to Harran, they settled there.

32 テラの年は二百五歳であった。テラはハランで死んだ。
32 Terah lived 205 years, and he died in Harran.

*ここで場所の確認をしておきます。

👆出発したカルデヤの「ウル (Ur of the Chaldeans)」 、目指した「カナン(Canaan)」、カナンに行き着く前に留まった「ハラン(Harran)」とはどこを指すかと言うと、

『ウル』は、ユーフラテス川南岸、現代のイラクの都市ナーシリーヤから16キロメートルの所です。

アブラハムは裕福な遊牧民の家で生まれ育ったと言われています。

 

留まった「ハラン」は、古代シリア地方の北部にあった都市の名。
現在はトルコ南東部のシャンルウルファ県にあたります。

目指す予定だった「カナン(地方)」は現在のパレスチナ地方にあたります。

アブラハム契約:神からのお告げ                   

ここから創世記第 12 章に書かれている内容「神からのお告げ」です。

これは「アブラハム契約 : Abrahamic covenant」と言われています。

1.時に主はアブラムに言われた、「あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。

1. The Lord had said to Abram, “Go from your country, your people and your father’s household to the land I will show you.

2 わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよう。あなたは祝福の基となるであろう。
2 “I will make you into a great nation,  and I will bless you;I will make your name great,and you will be a blessing.

3. あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地のすべてのやからは、あなたによって祝福される。
3. I will bless those who bless you,  and whoever curses you I will curse;and all peoples on earth will be blessed through you.

4 アブラムは主が言われたようにいで立った。ロトも彼と共に行った。アブラムはハランを出たとき七十五歳であった。
4 Abram went, as the Lord had told him; and Lot went with him. Abram was seventy-five years old when he set out from Harran. 

旧約聖書には上記4のように「アブラムがハランを出た時75歳であった。」とあることから最初に神から「国を出よ」とお告げを受けたのは生まれ育った「ウル」ではなく、「ハラン」であると言う説と、後に書かれた使徒言行録7章2−4のように「ウル」であると言う説があります。

カナンへ向けて出発                         

*いよいよカナンへ向けて旅立ちます。

 

5.アブラムは妻サライと、弟の子ロトと、集めたすべての財産と、ハランで獲た人々とを携えてカナンに行こうとしていで立ち、カナンの地にきた。
He took his wife Sarai,his nephew Lot, all the possessions they had accumulated and the people they had acquired in Harran, and they set out for the land of Canaan, and they arrived there.

*カナン地方にやってきました。最初の町は「シケム(セゲム)」です。

 


6 アブラムはその地を通ってシケムの所、モレのテレビンの木のもとに着いた。そのころカナンびとがその地にいた。
6 Abram traveled through the land as far as the site of the great tree of Moreh at Shechem. At that time the Canaanites were in the land.

*ここで再び神からお告げを受けます。

7. 時に主はアブラムに現れて言われた、「わたしはあなたの子孫にこの地を与えます」。

7. The Lord appeared to Abram and said, “To your offspring I will give this land.”

アブラムは彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。
So he built an altar there to the Lord, who had appeared to him.

*このようにお告げを受けたアブラハムは、神を崇拝する為に「シケム」に祭壇を築きました。

この後,以下の「8節」に書かれているように、「ベテルとアイの間」に天幕(テント)をはって滞在し、ここにも祭壇を築き神の名を呼びました。

8 彼はそこからベテルの東の山に移って天幕を張った。西にはベテル東にはアイがあった。そこに彼は主のために祭壇を築いて、主の名を呼んだ。
8 From there he went on toward the hills east of Bethel and pitched his tent, with Bethel on the west and Ai on the east. There he built an altar to the Lord and called on the name of the Lord.

*この後カナンの南部、ネゲブに移ります。ところが、ここに飢饉が襲います。以下9節はその内容です。

9 アブラムはなお進んでネゲブに移った。
9 Then Abram set out and continued toward the Negev.

 

10 さて、その地にききんがあったのでアブラムはエジプトに寄留しようと、そこに下った。ききんがその地に激しかったからである。

10 Now there was a famine in the land, and Abram went down to Egypt to live there for a while because the famine was severe.

 

エジプトへ渡る                           

さて、ここまで神に従ってカナン地方までやって来たのですが、ネゲブで飢饉という試練に出会いました。

ここから聖書には、神からの言葉は出て来ません

神との約束の地、カナンを出てエジプトに行くは、神の指示ではなく、アブラハム自身の判断でした。

エジプトに入ると、アブラハムは心配になりました。それは何かというと、彼の妻サラはとても美しかったのです。エジプトのファラオがサラに魅了されて、彼の妻として迎えるかもしれない。。。すると夫である自分が殺されるのではないかと恐れたのです。

それで、彼はサライに彼女が「彼の妻」ではなく「彼の妹」であるふりをするように言いました。

実はサラは、アブラハムの異母兄妹であることが創世記20章で登場します。
つまり父は同じテラですが、母親が違うって事です。
なので「私の妹だと。。。」は100%間違っているわけではないのですが、「私の妻」と言う事実を隠しています。

13 どうかあなたは、わたしの妹だと言ってください。そうすればわたしはあなたのおかげで無事であり、わたしの命はあなたによって助かるでしょう」。

13 Say you are my sister, so that I will be treated well for your sake and my life will be spared because of you.”

*エジプトに入ったら、案の定サラの美しさはファラオの高官たちからファラオに語られ、サラは宮廷に迎入れられます。
(このファラオのイラスト、ちょっと可愛いすぎますが。。。)

*サラの兄と思われているアブラハムには、結納品ごとく多くの羊、牛、雌雄のろば、男女の奴隷および、らくだが贈られました。

アブラハムは、自分の妻を妹と言った「嘘」から、「妻」であるサラをファラオの妾にしてしまい、更にそれと引き換えに多くの贈り物を得たのです。

ところが、サラの身は神によって守られます。
ここにきて聖書に神(主)がされたことが書かれています。

17 ところで主はアブラムの妻サライのゆえに、激しい疫病をパロとその家に下された。
17 But the Lord inflicted serious diseases on Pharaoh and his household because of Abram’s wife Sarai.

*やがてファラオはサラが「アブラハムの妻」であるにもかかわらず、彼女を自分の側女にしようとした事が災いをもたらしたと知り、アブラハムを召し寄せます。

18 パロはアブラムを召し寄せて言った、「あなたはわたしになんという事をしたのですか。なぜ彼女が妻であるのをわたしに告げなかったのですか。
18 So Pharaoh summoned Abram. “What have you done to me?” he said. “Why didn’t you tell me she was your wife?

19 あなたはなぜ、彼女はわたしの妹ですと言ったのですか。わたしは彼女を妻にしようとしていました。さあ、あなたの妻はここにいます。連れて行ってください」。  19 Why did you say, ‘She is my sister,’ so that I took her to be my wife? Now then, here is your wife. Take her and go!”

20 パロは彼の事について人々に命じ、彼とその妻およびそのすべての持ち物を送り去らせた。
20 Then Pharaoh gave orders about Abram to his men, and they sent him on his way, with his wife and everything he had.

この状況を描いた絵画の1つを紹介します。

“Pharaoh gives Sarah back to Abraham.” / Isaac Isaaccz(1640)

(やっぱり、ファラオってこんな感じだったんだろうな。。。)

*普通なら「アブラハムは嘘をついた罰」としてファラオに殺されそうなもんです。しかも嘘をついたのはアブラハムの方なのに、厳しい疫病を齎されたのはファラオや彼に仕う者たちでした。これは、神はアブラハムと契約しているので2人を守ったとされています。クリスチャンとしての教えで「アブラハムの罪 – 信仰の欠如」として説かれています。

エジプトを立ち去った後、一行は再びカナンへ向かいます。

甥っ子ロトとの別れ                         

 

創世記13章を簡単に要約します。

*アブラムたちはすべての持ち物を携えて、エジプトを出て ネゲブ に上がり、やがて元に居た「ベテル」と「アイ」の間の天幕(テント)を張った場所に戻ってきます。

 

そこは、以前に神を崇拝する為に築いた祭壇がある場所で、アブラハムは神に祈りを捧げます。

この時、アブラムは既にたくさんの家畜や金銀を所有していました。

共に移動した甥っ子のロトも、羊・牛・テントを所有していました。

そこは他にもカナン人やペリジ人が住んでいたので、アブラハムとロトは別の場所に放牧させる場所を確保しなくてはなりません。

ところが、お互いの牛や羊たちが多すぎて、両方の動物の牧草地を得るが困難になってきました。

更にお互いの動物たちに与える十分な水もなくなってきました。

 

やがてお互いの牛、羊飼いたちの間で、しばしば言い争いが生じるようになってしまったのです。

 

アブラハムは苦渋の決断をし、ロトに言います。

8 アブラムはロトに言った、「わたしたちは身内の者です。わたしとあなたの間にも、わたしの牧者たちとあなたの牧者たちの間にも争いがないようにしましょう。
So Abram said to Lot, “Let’s not have any quarreling between you and me, or between your herders and mine, for we are close relatives. 

9 全地はあなたの前にあるではありませんか。どうかわたしと別れてください。あなたが左に行けばわたしは右に行きます。あなたが右に行けばわたしは左に行きましょう」。
Is not the whole land before you? Let’s part company. If you go to the left, I’ll go to the right; if you go to the right, I’ll go to the left.

*このアブラハムの提案を受け入れたロトは、ヨルダンの平原(現在、死海と呼ばれている地域)が、良質の牧草地で十分に潤されているのを見ました。

 

10 ロトがげてヨルダンの低地ていちをあまねくわたすと、しゅがソドムとゴモラをほろぼされるまえであったから、ゾアルまでしゅそののように、またエジプトののように、すみずみまでよくうるおっていた。
10 Lot looked around and saw that the whole plain of the Jordan toward Zoar was well watered, like the garden of the Lord, like the land of Egypt. (This was before the Lord destroyed Sodom and Gomorrah.

11 そこでロトはヨルダンの低地ていちをことごとくえらびとってひがしうつった。こうしてかれらはたがいわかれた。
11 So Lot chose for himself the whole plain of the Jordan and set out toward the east. The two men parted company.


*実は、ロトが選んだ地域に住む人々は非常に反抗的だったのです。 特にソドムゴモラという二つの都市はに満ちていました。
後に、神の怒りを受けてこの二つの都市は滅ぼされてしまいます。

 

それを知らず、ロトはこの豊かで肥沃な地域を、家族が住むのに最適な場所として選びました。やがて彼らは、ソドムの町の近くにテントを張って住みました。

ロトが去った後です。
神が再びアブラハムに語りかけました。

14 ロトがアブラムにわかれたのちに、しゅはアブラムにわれた、「をあげてあなたのいるところからきたみなみひがし西にしわたしなさい。
14 The Lord said to Abram after Lot had parted from him, “Look around from where you are, to the north and south, to the east and west. 

 

15 すべてあなたがわたすは、永久えいきゅうにあなたとあなたの子孫しそんあたえます。
15All the land that you see I will give to you and your offspring forever.

16 わたしはあなたの子孫しそんのちりのようにおおくします。もしひとのちりをかぞえることができるなら、あなたの子孫しそんかぞえられることができましょう。
16I will make your offspring like the dust of the earth, so that if anyone could count the dust, then your offspring could be counted.

17 あなたはって、そのをたてよこにめぐりなさい。わたしはそれをあなたにあたえます。」
17 Go, walk through the length and breadth of the land, for I am giving it to you.”

最初に神が契約したように、ここでも「カナンの土地」を与えられること、「子孫繁栄」のお告げも受けました。


*神のお告げを聞いたアブラハムは、ヘブロン(Hebron)に留まることになります。

 

 

18 アブラムは天幕てんまくうつしてヘブロンにあるマムレのテレビンののかたわらにみ、そのところしゅ祭壇さいだんきずいた。
18 So Abram went to live near the great trees of Mamre at Hebron, where he pitched his tents.

こうして、甥っ子のロトと家族一行は、左図の辺りの「ソドム」アブラハムたちの位置「ヘブロン」に別れて住むことになりました。

 

 

これが「アブラハムの旅」として知られている聖書の主な内容です。

この後も、アブラハムにはたくさんの試練と神からの救いがあります。

 

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