【側妻ハガル】と【本妻サラ】のバトル:アブラハムに二人の子供。

当サイトではアフィリエイト広告を利用して商品を紹介しています。

前回の記事、創世記15章でアブラハムが神に子供がない事を訴え、神から

5 そして主は彼を外に連れ出して言われた、「天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみなさい」。また彼に言われた、「あなたの子孫はあのようになるでしょう」。
He took him outside and said, “Look up at the sky and count the stars—if indeed you can count them.” Then he said to him, “So shall your offspring be.”

と約束され、その契約の証として「神と契約の儀式」をした内容をお伝えしました。

記事はこちら。

アブラハム【神との契約の儀式】The Load's covenant with Abraham
信仰の父と言われるアブラハム。神との約束の地カナンを目指した旅は決して楽ではありませんでした。飢饉に襲われエジプトへ、その後は王たちの戦いで捕虜になった甥っ子ロトの命懸けの救出。遂に神は正式にアブラハムと契約の儀式を交わします。日英対訳で紹介します。

それにも関わらず、二人の間には子供が出来ないまま、どんどん老いていきました。

「ユダヤ教」「キリスト教」そして「イスラム教」の共通する始祖である「アブラハム」。

いよいよ、今回は「アブラハムの子孫」に関係してくる「本妻サラ」「側妻ハガル」のそれぞれに子供が出来る話です。

そしてこの二人の子供の子孫が「ユダヤ教」「キリスト教」そして「イスラム教」の発生に関係してきます。

妻のサラは、焦ります。このまま後継を産むことができなかったら。。。

そしてとうとう75歳になって自らの出産を諦めてしまいました。

そこで自分の代わりに子供を産ませたのが、女奴隷の「ハガル(Hagar)」って訳です。

「ハガル」は、エジプト人


アブラハムたちが「ネゲブでの飢饉」を逃れて「エジプト」へ渡った時に、エジプトのファラオから与えられた奴隷だったと言われています。

その後、彼らがカナン地方へ戻る時にもそのまま女奴隷、かつ「アブラハム妻サラ」のこま使い(女中)として一緒にやってきたと考えられます。

*アブラハムたちのエジプト行きの話は、「アブラハムの旅」の記事で説明しています。

聖書のアブラハムの旅【Abraham of Journey】
聖書に登場する「アブラハム」はユダヤ教、キリスト教、イスラム教の始祖であり、現在まで影響を及ぼしている「パレスチナ地方」の歴史を振り返るのに欠かせない存在です。有名な「アブラハムの旅」を聖書を引用して日英対訳で紹介します。

それでは、今回も同じく創世記より、日英対訳で内容を紹介します。

ハガルとイシュマエル(Hagar and Ishmael)

創世記16章です。

(まだこの時、アブラハムもサラも神から改名を受けていないので「アブラム」「サライ」と呼ばれています。)

1 アブラムの妻サライは子を産まなかった。彼女にひとりのつかえめがあった。エジプトの女で名をハガルといった。
Now Sarai, Abram’s wife, had borne him no children. But she had an Egyptian slave named Hagar;

2 サライはアブラムに言った、
2   So Sarai said to Abram, 

主はわたしに子をお授けになりません。どうぞ、わたしのつかえめの所におはいりください。彼女によってわたしは子をもつことになるでしょう“The Lord has kept me from having children. Go, sleep with my slave; perhaps I can build a family through her.”

アブラムはサライの言葉を聞きいれた。
Abram agreed to what Sarai said.

3 アブラムの妻サライはそのつかえめエジプトの女ハガルをとって、夫アブラムに妻として与えた。これはアブラムがカナンの地に十年住んだ後であった。

So after Abram had been living in Canaan ten years, Sarai his wife took her Egyptian slave Hagar and gave her to her husband to be his wife. 

こうしてハガルはアブラハムの子、イシュマエルを身籠り、側女となりました。

ハガル vs サラ                           

ここから女同士の嫌な戦いです。

ハガルは、自分が身籠ったのを知って、勝ち誇ったかのようにサラに横柄な態度をとり始めたのです。

4 彼はハガルの所にはいり、ハガルは子をはらんだ。彼女は自分のはらんだのを見て、女主人を見下げるようになった
4 He slept with Hagar, and she conceived.When she knew she was pregnant, she began to despise her mistress.

我慢できなくなったサラは、アブラハムに文句を言います。

しかも「あんたのせいよ!」って逆ギレするんです。

5 そこでサライはアブラムに言った、
Then Sarai said to Abram,

わたしが受けた害はあなたの責任です。わたしのつかえめをあなたのふところに与えたのに、彼女は自分のはらんだのを見て、わたしを見下げます。どうか、主があなたとわたしの間をおさばきになるように。
“You are responsible for the wrong I am suffering. I put my slave in your arms, and now that she knows she is pregnant, she despises me. May the Lord judge between you and me.”

さて、ここでアブラハムは何と答えたのか?

6 アブラムはサライに言った、
Abram said,

Abraham
Abraham

あなたのつかえめはあなたの手のうちにある。あなたの好きなように彼女にしなさい。
“Your slave is in your hands.
“Do with her whatever you think best.”

そしてサライが彼女を苦しめたので、彼女はサライの顔を避けて逃げた。
Then Sarai mistreated Hagar; so she fled from her.

 

ア、アブラハムよ!何と無責任な!
でもこういうやりとりって、結構ドラマでありますよね。

妻サラは、仕返しごとくハガルをいじめ始めた。。。

そしてとうとう耐えきれなくなったハガルは、身籠ったまま、逃げ出してしまい、生まれ故郷のエジプトへ向かって行きました。

その途中にある、荒野の泉のほとりで、疲れて一休みしている所に「天使」が彼女の前に現れてアドバイスします。

7 主の使は荒野にある泉のほとり、すなわちシュルの道にある泉のほとりで、彼女に会い,
The angel of the Lord found Hagar near a spring in the desert; it was the spring that is beside the road to Shur.

8 そして言った、And he said,

サライのつかえめハガルよ、あなたはどこからきたのですか、またどこへ行くのですか。
“Hagar, slave of Sarai, where have you come from, and where are you going?”

彼女は言った、
she answered.

わたしは女主人サライの顔を避けて逃げているのです。
“I’m running away from my mistress Sarai.” 

天使は、ハガルにサラの元へ帰って,身を低くするようにアドバイスします。

9主の御使いは言った。
Then the angel of the Lord told her,

女主人のもとに帰り、従順に仕えなさい。
 “Go back to your mistress and submit to her.


10
主の使はまた彼女に言った、
10 The angel added,

わたしは大いにあなたの子孫を増して、数えきれないほどに多くしましょう。
 “I will increase your descendants so much that they will be too numerous to count.”

天使はハガルにも「あなたの子孫を増やして。。。」と言ってますね。
本当、後々そうなります。

更に、生まれてくる男の子を「イシュマエル」と名付けるよう伝えます。
この名前の意味は「神は受け入れられる」です。見捨てないよ!っと言う思いですね。

11 主の使はまた彼女に言った、
11 The angel of the Lord also said to her:

あなたは、みごもっています。あなたは男の子を産むでしょう。名をイシマエルと名づけなさい。主があなたの苦しみを聞かれたのです。
“You are now pregnant and you will give birth to a son.You shall name him Ishmael, for the Lord has heard of your misery.

でもこう言った後に、その生まれてくる子に対してこんな預言もしています。

12 彼は野ろばのような人となり、その手はすべての人に逆らい、すべての人の手は彼に逆らい、彼はすべての兄弟に敵して住むでしょう。
12 He will be a wild donkey of a man; his hand will be against everyone and everyone’s hand against himand he will live in hostility toward all his brothers.”

「野生のロバ」との表現は「荒々しい性質」を示しているとされています。
何だか、持ち上げられたり下げられたり。。。

何でこんな事を言われたのかは分かっていません。でも、イシュマエルはその通りの道を歩むことになります。

13 そこで、ハガルは自分に語られた主の名を呼んで言った。
13 She gave this name to the Lord who spoke to her:

あなたはエル・ロイです。
“You are the God who sees me.

彼女が「ここでも、わたしを見ていられるかたのうしろを拝めたのか」と言ったことによる。
 for she said, “I have now seen the One who sees me.”

14 それでその井戸は「ベエル・ラハイ・ロイ」と呼ばれた。これはカデシとベレデの間にある。
14 That is why the well was called Beer Lahai Roi; it is still there, between Kadesh and Bered.

「エル・ロイ」とは、神は見ておられるという意味です。
「ベエル・ラハイ・ロイ」は、生きて見ておられるお方の井戸という意味です。

こうして、ハガルはサラの元へ戻り、やがて男の子を出産。お告げの通り、イシュマエルと名づけました。

15 ハガルはアブラムに男の子を産んだ。アブラムはハガルが産んだ子の名をイシマエルと名づけた。
15 So Hagar bore Abram a son, and Abram gave the name Ishmael to the son she had borne.

16 ハガルがイシマエルをアブラムに産んだ時、アブラムは八十六歳であった。
16 Abram was eighty-six years old when Hagar bore him Ishmael.

この後も10年以上、妻のサラには子供が出来ませんでした

ところが遂にその時がやってきた

妻サラ(Sarah)とイサク(Issac)

さて、イシュマエルが13歳、アブラハムが99歳になった時に、再び神が語りかけます。

ここでいよいよ改名です。神からお告げを受けました。

「アブラム」から「アブラハム」、「サライ」から「サラ」です。

これも意味があって、「アブラム」は「高貴な(大いなる)父」と言う意味、そこに「ハ」が加わって「多くの国民(国々)の父」になりました。

「サライ」は「わたしの女王」、それが「サラ」になって「女王」つまり皆の女王へ。

つまり二人は「多くの国民、国々の父と母」になったのです。

そして遂にサラにも子供が授かるお告げを受けます。

(創世記17章15節から引用します)

15神はアブラハムに言われた。
15 God also said to Abraham,

あなたの妻サライは、名前をサライではなく、サラと呼びなさい。
 “As for Sarai your wife, you are no longer to call her Sarai; her name will be Sarah. 

16わたしは彼女を祝福し、彼女によってあなたに男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福し、諸国民の母とする。諸民族の王となる者たちが彼女から出る
16 I will bless her and will surely give you a son by her. I will bless her so that she will be the mother of nations; kings of peoples will come from her.”
 
 
ついに妻サラとの間に子供が!
でも妻サラは、もう子供を産める体ではない。。。
17アブラハムはひれ伏した。しかし笑って、ひそかに言った。
17 Abraham fell facedown; he laughed and said to himself,

Abraham
Abraham
(百歳の男に子供が生まれるだろうか。九十歳のサラに子供が産めるだろうか。)
 “Will a son be born to a man a hundred years old? Will Sarah bear a child at the age of ninety?”
 
 
18アブラハムは神に言った。
18 And Abraham said to God,

Abraham
Abraham
どうか、イシュマエルが御前に生き永らえますように。
 “If only Ishmael might live under your blessing!”
もしサラが身籠ったとして出産する時は、アブラハムが100歳、サラは90歳。
アブラハムは神を信じていたとは言え、こればかりはもうギリギリの信仰心。

一方で、イシュマエルは現実として自分の目の前にいる。
そんな心の揺れ動きから、イシュマエルが生き永らえるように。。。とお願いしたとされています。

 
でも、神はキッパリ約束します。
しかも生まれてくる子を「イサク」と名付けるようにとも。。。
 
19 神は言われた。
19 Then God said,

いや、あなたの妻サラがあなたとの間に男の子を産む。その子をイサク(彼は笑う)と名付けなさい。わたしは彼と契約を立て、彼の子孫のために永遠の契約とする。
“Yes, but your wife Sarah will bear you a son, and you will call him Isaac. I will establish my covenant with him as an everlasting covenant for his descendants after him.
 
更に、神はアブラハムがお願いしたハガルとの子、「イシュマエル」についても受け入れました。
 

20 イシュマエルについての願いも聞き入れよう。必ず、わたしは彼を祝福し、大いに子供を増やし繁栄させる。彼は十二人の首長の父となろう。わたしは彼を大いなる国民とする。
20 And as for Ishmael, I have heard you: I will surely bless him; I will make him fruitful and will greatly increase his numbers. He will be the father of twelve rulers, and I will make him into a great nation.

後に、イシュマエルはエジプト人の妻をもち、12人の男の子が誕生。
アラブ民族の祖(アラビア人の祖先)となります。
 


その子孫から「ムハンメド」が誕生
し、後に「イスラム教」を広めることになります。

ただ、神はここで「契約」について念を押します。

21しかし、わたしの契約は、来年の今ごろ、サラがあなたとの間に産むイサクと立てる
21 But my covenant I will establish with Isaac, whom Sarah will bear to you by this time next year.”


22
神はこう語り終えると、アブラハムを離れて昇って行かれた。
22 When he had finished speaking with Abraham, God went up from him.

このサラとの間に産まれてくる子供「イサク」に契約が受け継がれ、更に「イサク」と妻との間に産まれてくる子供「ヤコブ」へと引き継がれます。

そしてイサクの孫に当たる「ヤコブ」が12人の男子を設け、後に「イスラエルの12部族」となります。

なので、イサクは後々の「イスラエル民族」の大事な先祖になるんですね。(ユダヤ教)

3人の訪問者(The three visitors)

さて、神からサラに子供が授かるとお告げを受けたアブラハム。
この18節からは「神」自身が二人の天使と共に彼の前に現れて「イサクの誕生の予告」をする内容が書かれています。

イサクの誕生の予告                         

この3人の訪問も、よく西洋絵画で登場します。
聖書の内容と照らし合わせていくつか紹介します。
1主はマムレの樫の木の所でアブラハムに現れた。暑い真昼に、アブラハムは天幕の入り口に座っていた。
18 The Lord appeared to Abraham near the great trees of Mamre while he was sitting at the entrance to his tent in the heat of the day.
 
目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。アブラハムはすぐに天幕の入り口から走り出て迎え、地にひれ伏して、
Abraham looked up and saw three men standing nearby. When he saw them, he hurried from the entrance of his tent to meet them and bowed low to the ground.
 
Abraham
Abraham

3.お客様、よろしければ、どうか、僕のもとを通り過ぎないでください。
3 He said, “If I have found favor in your eyes, my lord, do not pass your servant by.


4
水を少々持って来させますから、足を洗って、木陰でどうぞひと休みなさってください。
4 Let a little water be brought, and then you may all wash your feet and rest under this tree.

5何か召し上がるものを調えますので、疲れをいやしてから、お出かけください。せっかく、僕の所の近くをお通りになったのですから。
Let me get you something to eat, so you can be refreshed and then go on your way—now that you have come to your servant.”

 

 
その人たちは言った。
they answered,

では、お言葉どおりにしましょう。

 “Very well,” “do as you say.”

 

そしてアブラハムはサラに急いで作らせたパン菓子と、子牛の料理などで彼らに給仕しました。
 
彼らはアブラハムに尋ねた。
they asked him.

あなたの妻のサラはどこにいますか。
9 “Where is your wife Sarah?” 

Abraham
Abraham

はい、天幕の中におります。
“There, in the tent,”

とアブラハムが答えると、

 he said.

10 彼らの一人が言った。
10 Then one of them said,

わたしは来年の今ごろ、必ずここにまた来ますが、そのころには、あなたの妻のサラに男の子が生まれているでしょう。
 “I will surely return to you about this time next year,and Sarah your wife will have a son.”
 

この彼らのやりとりをサラは天幕の入口で聞いていて、「こんな老人にまさか。。。」と信じられなくてつい心の中で笑ってしまいます
 

それを見逃さなっかた神(3人の内の1人は、受肉前のイエスとされています)は、サラの不信仰を叱ります。

 
13 主はアブラハムに言われた。

なぜサラは笑ったのか。なぜ年をとった自分に子供が生まれるはずがないと思ったのだ、
“Why did Sarah laugh and say, ‘Will I really have a child, now that I am old?’ 
 
14主に不可能なことがあろうか。来年の今ごろ、わたしはここに戻ってくる。そのころ、サラには必ず男の子が生まれている。
14 Is anything too hard for the Lord? I will return to you at the appointed time next year, and Sarah will have a son.”
15サラは恐ろしくなり、打ち消して言った。
15 Sarah was afraid, so she lied and said,

わたしは笑いませんでした。
“I did not laugh.

主は言われた、
But he said,
 

いや、あなたは確かに笑った。
“Yes, you did laugh.”

この後、サラは悔い改めて、無事に約束通り「イサク」を授かることになります。

ところが、本妻であるサラは「イサクの誕生」によって先に生まれている側女の子「イシュマエル」の存在が心配になってきます。

元は、「相続の為」にサラ自身が提案して女奴隷のハガルに産ませたのに、いざ自分に「約束の子イサク」が生まれると、今度は「後継は自分の子であるべきだ」とハガルとイシュマエルの存在が鬱陶しくなってきたのです。

そして遂にアブラハムに二人を追放するよう訴えるのです。

 

タイトルとURLをコピーしました