今回は、【Last time I checked】の少し皮肉めいた、或いはユーモア的な使われ方を紹介します。
ところで、これ直訳すると「最後に確認した時には」で、普通にそのまま訳す場合もあります。
例えば、こんな会話。
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What time does the shop open?
(そのお店、何時に開くの?)
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Last time I checked, it was 9am.
(最後に確認した限りでは9時だったわ。)
これは、「最後にチェックした時はこうだった、だけど今は変わってるかもしれない」的なニュアンスですね。
それでは、今回ご紹介する「皮肉っぽい」或いは「ユーモア」を含めた使い方では、どんな意味合いになるのでしょうか?
実例含めて紹介します。
Last time I checkedの使われ方
皮肉系、ユーモア系の返答として使う場合、「問いかけ側の質問内容」で大きく2つに分けられます。
1つは、良きにつけ悪きにつけ「変えようがない事を聞いてきた時」
もう1つは、「あまりにも明白なことを聞いてきた時」
これに対しての答えで、どちらも「YES」の代用です。「私の知る限りそうですよ。」ってニュアンス。
では、例文を使って説明します。
「変えようがない事」を聞いてきた時編
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Do you have any children?
(お子さんはいらっしゃる?)
と聞かれて、とってもヤンチャで手を煩わせる”我が子”を思い浮かべながら
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Last time I checked!
(ええ、私の知る限りおります!)
変えようのない事実で、「幸か不幸かその通りです!」と言うユーモアを込めた返答です。
もう一つ、変え難い事実の例を挙げます。
友人と外出。お店を出たら「まさかの雨粒が。。。」
傘は持っていないし、駅までかなり距離がある。
Oh No! Is it raining?
(あらやだ、雨降ってる?)
Last time I checked, it was.
(ああ、見た限りその通りね。)
これは、「雨が降っている」と言う変えられない現実を目の当たりにして、単に「YES」と返答する代わりに「(残念だけど)私が見た限りではね。」と言っています。
明白な事柄
次に、「明らかに見りゃわかるだろ!」と返答したい時の例を挙げます。
この記事タイトルのイラスト、
これも、明白な事柄に対する返答です。
クマが「空って青い?」って聞いてきたのに対し、ワニが「私が知ってる限り青いさ。」って言ってます。
つまり、「誰が見たって空が青いのは当たり前だろ!」と言うニュアンス。
このように少し、皮肉っぽく、かつ冗談めいて返答する時に使われます。中には、完全皮肉もあります。
それでは、もう少し例文を上げていきましょう。
まず、我が家の父子の会話からいきましょう。
ある週末のこと。
息子は、宿題をやっていた途中に、夫に聞きたい内容が出てきました。
そこで外で庭仕事をしている夫に
Hey, Dad!
Are you busy?
(ねぇ、お父さん、忙しい?)
と聞いた息子。
見たからに手が離せない夫は
Last time I checked, I was busy!
(見た限りな、忙しいさ。)
このように、「見りゃわかるだろ?」と皮肉を込めつつ、笑顔で答えてました。
次の例です。
バンジョー🪕の路上パフォーマンス(バスキング:busking)を終えた帰り道、ある少年と遭遇。
その少年が
Can you play it?
(それ弾けるの?)
と聞いてしまいました。
そこで、そのバスカーは
Last time I checked, I could.
(俺が知ってる限り、弾けるぜ。)
このように、「当たり前だろ、少年よ!俺、どう見てもミュージシャンなんだよな。弾けるからバンジョー持ってんだよ。」と返答する代わりに言いました。
では、最後にこちら。
オーストラリアの人気番組「Lego Masters(レゴ マスターズ)」を見ていた時の事。
これは、それぞれ二人組がブリックマン(審査員)からの課題を元に自分達でストーリーを組み立て、それを「レゴ」で作っていきます。
その時のテーマは「3幕の物語」。
あるペア、スコットとオーエンが、「ローマの物語」を思いつき、第一幕で「ローマ建国神話」の「Romulus & Remus(ロムルスとレムス)」の話の一部分を作っていました。
「ロムレスとレムス」の象徴といえば、「狼とその乳を飲む双子の赤ちゃん」
ところが、彼らが作っていたのは、双子の兄弟「ロムルスとレムス」の戦いの場面でした。
それを見ていたブリックマンが、アドバイスのために彼らに質問した時の会話です。
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Talk to me about our three-act story.
Let’s start off with the first act.
(三幕の物語について話して下さい。
まず第一幕から始めよう。)
このように、彼らが第一幕の物語をどう考えて作っているのか、聞きました。
まず、スコットが答えました。
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So we’ve got Romulus and Remus fighting over where it should go…”
(ロムルスとレムスがどこに行くべきかをめぐって戦っているのですが…)
とその途中で、ブリックマンはすかさず
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What’s the iconography of Romulus and Remus?”
(ロムレストレムスの図像って何ですか?)
とズバリ、彼が気になっていた部分を指摘しました。
それに対し、もう一人のパートナーであるオーエンが
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It’s them suckling the wolf, my issue with that from the start was that we weren’t telling the story of Romulus and Remus, we were telling the story of Rome.
(それは狼の乳を飲む彼らです。最初から私が論点としていたのは、私たちが「ロムルスとレムスの物語」を伝えているのではなくて、「ローマの物語」を伝えているということでした。
とちょっと反論しました。
それに対してブリックマンは、アドバイスも込めて
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… But how was Rome founded?
We don’t have a story that’s obvious, and it’s not obvious to me.
(……でも、ローマはどのようにして建国されたのでしょうか?
明らかに話が語られていないし、私にとっても物語が明白ではない。)
こう言った後で、
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Last time I checked, I’m the judge.
(私の知る限り、私が審査員なんですよ。)
この背景には、ブリックマンの最強アドバイスがあって「ローマ建国」の象徴は、「ロムレスとレムス」兄弟が戦う場面ではなく、彼らを羊飼いが見つけるまで育てた「雌オオカミ」であり、シンボルとなっている「狼の乳を飲む兄弟の像」であることを伝えたかったのです。
そして、ストーリー性を審査するのは他でもない自分であることを。。。
この時の、ブリックマンが言った
“Last time I checked, I’m the judge.”
は、皮肉です。
オーエンが彼のアドバイスに対し、やや反論じみた「元々ロムルスとレムスの物語を伝えようとしたわけじゃないから」的な事を言ったので、ブリックマンは
「おいおい、ストーリー性を審査するのは、他でもない私なんだよ。その私がアドバイスをしているんだよ。」っ的な感じですね。
これに対してオーエンは、
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I hear you… but I don’t understand what we’re meant to do,I actually don’t know what to do.
(おっしゃりたい事は分かるんです、でも自分達がこれからしようとしている事が何なのか分からない、実際のところ何をしたらいいのかわからない。)
ブリックマンは二人を見つめて去っていきました。
こうした部分だけを捉えると、何だかブリックマンで傲慢な、、、と勘違いしそうですが、彼はとても公平で、更に皆の成長を助けるアドバイスをして一目置かれた存在です。
そして結果、スコットとオーエンはブリックマンの意図を理解し、象徴である銅像を加えた明白な「ローマ建国神話」のシーンを完成させました。
嫌み混じりの”Last time I checked, I’m the judge.”と言うセリフを受けた彼らでしたが、おかげで彼らは「ストーリー性」のレベルアップを図ることができ、更に次々と勝ち残って、2023年のレゴ グランドマスターの優勝チームに輝きました。
いやー、何だか話がそれちゃいましたが、私、彼らの大ファンだったので力が入りましたよー。嬉しかったです。
と言うことで、今回はユーモアでも皮肉としてでも使われる慣用句、
“Last time I checked”を紹介しました。
もし、日本に旅行に来た外人観光客に
Excuse me, are you Japanese?
(すみません、あなた日本人ですか?)
とどっからどう見ても日本人しかいなくて当たり前の状況で聞かれたら、冗談っぽく笑いながら、
Oh, Last time I checked,
I was Japanese.
(ええ、私が知る限り/どっからどう見ても日本人です。)
How can I help you?
(どうしました?)
って言うと相手も苦笑いしてくるでしょう。
⭐️「ロムルスとレムス」の物語のあらすじはこちらの記事で紹介しています。
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