今回は”音節” – Syllable(シラブル)についての記事です。
「英語が母国語でない人」が話す英語に慣れている土地で住んでいた時には、そこそこ普通に通じていたつもりだった私の英語。
それが田舎町に引っ越して撃沈してしまいました。文法も単語もあっているはずなのに、どうしても一発で通じてくれない!
「あー、やっぱり発音か。。。」
と落胆する度に辞書で「発音記号」と「アクセント」をチェック。
或いは「ネィティヴ発音を真似てみよう!」とトライする。それでも通じない、「ある人には通じるけど。。。」
「今までの私の学びは何だったんだ!?」と途方に暮れる日々。
それを救ってくれたのが「フォニックス」でした。
オーストラリアの子供達が、アルファベットの持つ音を学ぶ「フォニックス」を習い始めるのが4〜5歳。息子が学校で習ってきたのをきっかけに、私も一緒に教えてもらい、これで「カタカナ」とは一切お別れする事が出来たし、驚くほど通じるようになりました。
海外で習うフォニックスの記事はこちらです。↓
私のように海外在住者だったり、常にネィティヴと会話する機会のある方たちは「フォニックス」と言う存在がどれだけ重要かご存知だと思います。日本語の音と違う「英語の音の出し方」は、真似るだけでは限界があります。
発音記号云々の前に、この「音の出し方」をいつまでもカタカナ風に習得していては、英語の音にはならないからです。
更に「フォニックス」と併用して、現地の子供たちが6〜7歳からに習い始めるのが今回取り上げる「シラブル」と呼ばれる“音節”です。
せっかっくフォニックスで「発音が矯正」されても、英語のリズムの基礎となる「シラブル」(音節)をいつまでも日本語音節で英語を話すと、これまた全く「英語」に聞こえてくれません。
Syllable(s) って何の事?
では、シラブル(音節)について詳しく説明します。
これは、単語の中の「母音の発音(a,e,i,o,u)」を持つ単位の事。
例えば、Japanと発音した時、ja-panと母音の”a”の音が2つ。
従ってシラブルが2つ。(綴り上の母音ではなくて発音です)
私の場合「フォニックス」に関しては、前述しましたが息子が学校から帰ってきて
A has three sounds /æ/ei/ā,
A(æ)pple, A(ei)pril, Fa(ā)ther.
B has one sound /b/.
b(b)ut〜」
と、ほぼ毎日口ずさんでいたのでかなり感化され、私も一緒に教えてもらいました。
最初、この音の出し方を知った時にはかなりショックでした。「何でもっと早く習わなかったんだろう。。。」と、、、同時に音の出し方の基礎を知らなかったんだから通じるはずがない事も痛感しました。
「いやー、英語圏の子達って“発音記号”は習わないけどこうして英語の音を学ぶのか!」と本当に目から鱗状態。
フォニックスで私の発音は徐々に矯正され、以前よりも一発で通じるようになっていきました。ところがまだその頃、「シラブル」に関しては気付かなかった。。。
息子によるとYear2(6〜7歳)の頃から「フォニックス」と一緒に「シラブル」も習ったらしいのですが、、、あの頃、宿題なかったしな。。。教科書もなかったしな。。。
この「シラブル」とその重要さに気付かされたのは、今の都市に引っ越した、息子Year6の時の宿題です。
彼が、それぞれの単語のシラブルを記入するのに、発音と同時に手を叩きながら
cham👏-pi👏-on👏.
“3”
ってやっているのを見て「何だ?この宿題は?」と不思議に思って聞いたのがシラブルたる存在を知ったきっかけでした。
どんな宿題だったか?と言いますと、これです。↓Year6(日本だと小学5年生)の時の宿題です。
英語圏の子が習うからには、それなりの重要な意味があるはず。
ちなみにフォニックスを習う時代でなかった我が夫も、さすがにこの「シラブル」は習ったそう。
何で習うの?私たち、単語のどこにアクセントが付くかは習ったけど。。。。
Syllablesが分かんないと発音できないよ。
例えば
interesting.
いくつある?
in-ter-est-ing,4.
interesting!
この時、私はまだ納得できてなかったのです。その重要さ。。。
だって、辞書の発音記号 で「ɪ́ntərəstɪŋ」ってあってどこにアクセントを付けたらいいか分かるし。。。
ビートだよ、ビート。
in–ter–est–ingって4音節・4ビートから成ってる。
でもカタカナ語で
「in(イン)-ta(タ)–re(レ)–su(ス)–tin(ティン)-gu(グ)」って言うと6音節にもなる。
ちなみに”interesting” に関しては、辞書によって”3音節”だったり、その区切りも違ったりします。(英英辞典で)
どうやら昔は「4音節」だったのが「3音節」が主流になってきたらしいです。
⭐️inter–est–ing(私の持つオックスフォード英英辞典)
⭐️in–terest–ing(ロングマン英英辞典)
でもどれも最初の音節にアクセントがあるのは同じで、早口で言うと3音節になる事から、3音節と4音節の両方が存在しています。
話を戻します。
日本語は、ローマ字で書くと一目瞭然、子音の後に「aiueo」の母音が「ん」以外全部ついてまわります。
例えばフレンドを例にあげます。
ローマ字で書くと→furendo(フレンド)子音の後全てに母音がつきますよね。
↓
これをそのままカタカナ発音で言うと「フ・レン・ド」と3音節3ビートに。
ところが英単語は “friend” で、発音した時の母音の数は
friend→シラブルは1音節、1ビートしかないのです。
音節の数がこれだけ違う「英語」と「カタカナ発音」
ドラムビートで例えると「ドン」が3倍の長さになってしまう。
イメージしやすいようにイラストにするとこんな感じです。
野球のバッターに例えると、こんな感じ。
英語は “friend” と一発発音なのに、カタカナ発音だと3発放つことになって3倍の長さにもなってしまいます。
この違いを知らずに日本語(カタカナ)のビートそのまま英会話で使うと、ネィティヴにはまるでロボットが話すみたいに聞き取り辛くなるのです。
逆にネィティヴが「日本語」を英語っぽく
「Su-shi」スゥーシィ
(寿司)
と言うのもシラブルズ(音節)を基本に2ビートで母音にアクセントを置いて長めに発音するからなんですね。
「すし」は日本語でも2音節ですが、もともとの日本語「寿司」を2ビートを意識して「スーシー」なんて言いませんね。むしろ一発発音で「すし!」
英語みたいに音節を気にして発音しないですからね。何てったって「ん」以外は全部母音がつきますからね。あいうえお、かきくけこ、、、母音付きでハキハキ言います。
その癖が「英語」の発音に繋がってしまうので、母音が子音に付き纏う「カタカナ発音」は脱却し、フォニックス発音と英語の音節(シラブル)を意識する必要があるのです。
シラブル (Syllable(s))を習う事は英語圏でかなり重要視されています。
シラブルを学ぶ理由
英語圏の子達が習う理由は
-
シラブルの何番目にストレスを置いて発音するか習得する。
-
正しい綴りへ導く。
-
初めての単語に出会っても発音でき、読書力を向上させる。
「フォニックス」&「シラブル」のダブル効果って感じです。
つまり
☆「フォニックス」でアルファベットの持つ音を修得。
☆「シラブル」で単語の強調する部分を修得。
英語ってのは要は「リズム命」
彼らは自然と英語を話す時のリズムが身についている。
その「リズム」の元になるのがこの「シラブル」
日本語のようなフラット発音ではなく、ネィティヴはある単語をゆっくり、逆に早く、或は高く、低く強弱をつけてとてもリズム豊かに話しますね。
「タンタンティティタン/タンティティタンタン♩♩♫♩/ ♩♫♩♩」ってな感じ。
その原点が「英語のシラブル」にあるのです。
私は声を大にして言いたい!
何でもっと早く気づかなかったんだろう?
何で習わなかったんだろう?
さて、もっと詳しく「シラブル」が英会話のリズムの元になる根拠を動画を踏まえて紹介します。
Syllable(s) を知るメリット
①ネィティヴの様なリズム感のある発音になる。
②綴りが楽になる。
③会話でどの単語をゆっくり目、早めに言ってリズム感を出すかが分かってくる。
④リスニングで「フレーズ」の塊が聞き取りやすくなる。
日本語の特徴は、「ん」以外、子音には「aiueo」の母音がつきまといます。
そこにリズム・ビートはほとんど存在しません。ほぼフラット。
今度は「Sydney・シドニー」を例にあげます。
*日本語的発音=シ・ド・ニー→3ビート
*英語発音=syd・ney →2ビート
つまりリズム的には
日本語的発音だと「ドンドンドン」と3拍子
英語発音は「ドンドン」と2拍子
「シドニー」と発音して通じた人はほぼいないと思います。撃沈します。
リズムの基本は「シラブル」ですが、発音の基本は「フォニックス」です。
なので効果的な学習方法として、発音する時には「フォニックス」でアルファベットが持つ音を修得、同時にこの「シラブルー音節」がいくつあるか、どの部分にストレスがくるかを修得する事で、最終的には「会話にリズムをつけるコツ」が分かってきます。
「会話にリズムをつけるコツ」は「Sentence Stress(文の強勢)」と言って、あのネィティヴスピーカーがリズム感豊かに強弱をつけながらある単語はゆっくり目、ある単語と単語は早めに話して全体のリズムを整える、あの英語本来の話し方の基本となるもの。
この「sentence stress」の前に必ず必要なのが「syllable」を知ること。
あんまり神経質になる必要はありません。
目的は「強弱とリズムある英語発音」で通じる英語を目指す!
いちいち会話の時に「えーっと、この単語はシラブルがいくつで。。。」なんて分析することはありません。
母音がつきまとう「ローマ字的話し方」から脱却して、英語のストレスがかかる音節のみ強め、長めに言ってリズムをあわす、この違いが「英語のシラブルを知る」事です。
Syllable(s)の数え方
では、具体的に英語の「シラブル」ってどうやってカウントするのか?
まず、大事なポイントは単語の綴りにある
a,e,i,o,uをカウントするのではない!と言うこと。
あくまでも「発音」した時の「母音」のカウントです。
例えば先に例をあげた”Sydney”
*綴りでの母音の数は ”Sydney” →1つ
*発音した時の母音の数は ”Sid-ni“ →2つ ✅
あくまでも「発音した時」の母音の数です。
最も簡単なカウント法
なかなかネィティヴでない限り、発音でカウントするのは難しいと思います。
そこで、英語圏の先生がお勧めしている方法が
「顎(あご)が下に落ちる回数」を数える!
手の甲を顎の下につけてみて下さい。
そして母音(a,e,i,o,u)を発音すると「顎が下」に落ちますね。
この方法だと例えば長い単語だったり、綴りにたくさん母音があっても分かりやすいのです。
試しに ”beautiful” をカウントしてみましょう。
綴りだと ”beautiful” と5つも母音があります。
これを顎が下に落ちる回数でカウントしてみて下さい。
カタカナ発音ではダメです。全部下に落ちます。 😯
英語発音:bjútəfl で言って下さいね。
どうですか?
シラブルが3つだと正解!
beau-ti-fulです。
もし、発音が違うと自ずとこの顎の落ちる回数も違うってことなので「発音矯正」にもなります。
最初のうちは「辞書」でシラブルと発音記号を見て「フォニックス」発音をする事をお勧めします。
シラブルが理解できると「発音」や「綴り」にも効果的な他、特に音節が2つ以上ある単語の場合、ネィティヴが1つの単語発音の中でも「強弱」と「伸ばす、早め」に言っている部分が聞き取れるようになります。
beau-ti-ful → シラブルは3つ。
beau–ti–ful ← そのうちの最初の音節にアクセント。
↓
beauが強調されてやや長め、残りの2つの音節は弱く早めに発音される。
決してカタカナ発音、「ビュー・ティ・フ・ル」ではありません。そしてこのアクセントの部分が会話の強弱のビートをとる位置につながります。
シラブルが会話のリズムに影響する!
シラブルのカウント方法が分かったところで、実際にどう会話に影響するのか?
その前に、簡単に「Sentence Stress」という”文の強勢”について取り上げます。
(詳しくは別記事で紹介します。)
ネィティヴが強調して話す単語の品詞は”内容語”と言われるグループです。会話の内容に影響を与える重要な品詞。
「主動詞」→主なアクションを表すキーポイント。
「名詞」→人や物、事を表し、伝えたい内容のポイント。
「形容詞」→物事の性質や状態を表す。
「副詞」→「名詞以外」を修飾して意味を追加する。
「wh-で始まる単語」
「否定語」→can’t, shouldn’t, don’t…
これらの単語が強調され、その単語のシラブルズでストレスのあるパーツにビートを合わせます。
例えば “I like chocolate cake.”
I like chocolate cake.
この文で強調されるのは
「主動詞=like」
「名詞=chocolate cake」
分かりやすくイラストにしました。
このようにそれぞれの強調される単語の「ストレス」の部分(赤いアクセント記号)にビートを合わせ、更にそのアクセント間は全て同じテンポで話します。
すると、この文章の場合、他の単語はシラブル1つに対し、“choc-o-late”は3つの音節。
しかも“chóc-o-late”の1音節目にストレスがある為、次の”cáke” までの間を早く言ってリズムを合わせる必要があります。
つまり最初の音節以外、残りの2つの音節(o-late)を弱めで早く言うのです。
実際にネィティヴに発音してもらいました。
この動画で一目瞭然です。
いかがでしょう?シラブルがいかに会話のリズムに影響するか、ご理解頂けたと思います。
ではもう少し詳しくレッスンがてら作成した動画を紹介します。
“What do you think?” を例に取ります。
まず、強調する単語だけでリズムを取ります。
この場合だと、
What do you think?
①「wh-単語」の”what”
②「主動詞」の”think”
それぞれのストレスをかける部分(赤いアクセント記号)で手を叩きます。
次に「強調しない単語」
“do you” を間に入れます。
テンポは”what”👏 -“think”👏をキープしたまま、間に”do you”を言ってみます。
いかがですか?
強調する単語”what”と”think”は1つのシラブル。でもその間に、2つのシラブル(音節)が入っている為、2音節を1音節に縮めて早口にしないとリズムが整いませんね。
もしカタカナ発音で「英語の音節」を意識せず
「フ・ワッ・ト・ドゥー・ユー・シン・ク?」
と言うとビートが違いすぎてネィティヴにはロボットみたい?或いは全く違う言語を言っているように聞こえてしまうのです。
では、こちらの動画でネィティヴの発音と同時に言ってみて下さい。
どうでしょうか?
何だか当たり前のような、でも気付かなかったリズムの根本的な取り方。
この要領で「強調されている単語(1つの単語の中でもストレスのない音節は弱い)」と「弱く発音される単語たち」に耳をダンボ状態で聞くと、段々とそのリズムが何かこう、ジワジワっと身についてきます。
今思えば私は知らず知らずのうちに毎日の英語を聞く環境からこの「英語のリズム」に耳が慣れてきて、それを真似て話していたのです。
このSyllables(シラブルズ) とSentence stress(文の強勢)」を知ってからもう私のリスニングの世界は一変!だからここは短く弱めに言ってるんだ!と納得。
もちろん、まだまだ機関銃のように捲し立てられると???状態ですが「強調単語」は聞き取り易くなること、間違いなしです。
そしてリズムに慣れてきたら次の最大の課題。
「弱く早く発音される単語たち」を聞き取る事!
これがいわゆる英語の連結、同化、脱落に繋がっていくのです。
例えば母音の脱落を例に挙げます。
This is a song about lovers.(これは恋人たちの歌です。)
この場合、強調する単語は「名詞」2つ。
song→シラブル1つ
lov・ers→シラブル2つ
下記に強く発音する部分を大きく黒字、アクセントを赤字、弱く発音する部分を薄く表示しました。
強く発音するビートの間に挟まれた前置詞の“about” は2音節。
“song“の後、次のビート”lov“までの間でリズムを合わせるために早く発音する必要があります。
ところがアクセントは2音節目のboutにある為、早口で言うと1音節目の”a”の音が消えます。
聞くと”This is a song bout lov-ers.”って感じ。
これも全ては「強調単語のアクセント」に挟まれた「弱くしか発音してもらえない」更には「早口」で言ってもらうしかリズムについていけない、そんな控え目な「単語たち」の宿命。
我々はこの控え目単語たちの為にもまずは「シラブル」を意識して強調された部分と弱く早く言っている部分に耳ダンボにして音読しようではありませんか!
お勧め練習方法
お勧めの練習方法ですが、まずはシラブルに慣れることです。
シラブルに慣れる為には単語の正しい音を知る必要があります。そうでないとカタカナ発音で数えちゃいますからね。。。
だからと言って辞書片手に全てA行から見ていく、、、何てできっこありません。
やはり正しい音のお手本は「ネィティヴナレーター」付きの本やテキストで「音読」すること。
「音読」は「単語」を見ているので自ずと”文字をインプット”しています。更に「単語と正しい音」を結びつけてくれる最適な方法で、リーディング力がUPします。
この音読で正しい音を聞いた後に、即シャドーイングするのではなく、少し時間をとって「シラブル」を意識します。自分で発音しながら顎が下に落ちる回数をチェックして、辞書で確認する。あくまでも正しいストレスの位置の習得と慣れの為です。
「シャドーイング」は自身の頭に「音色」をインプットしています。これはリスニング力UPへ繋がります。
こうしたバランスを効果的に取り入れた「音読」のテキストは、私が昔お世話になった「安河内哲也氏」のテキストがお勧めです。
「音読」がスムーズに続けられるように「ナチュラルスピード」と「スロースピード」が用意されているのでいきなりネィティヴの速さで面食らって、「音読どころでない」と言う挫折を回避できます。
次回は「Sentence stress」について取り上げます。